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市街化調整区域での新築計画。
土地の面積は広いのだが形状が「凸型」になっており、敷地内に井戸が存在する計画地にて明るく開放的な平屋というご要望をいただいた。
また、敷地形状をうまく使いながら井戸も利用したいとのことだった。
自然光を取り入れるために、南側を大開口にすることはもちろんだが、各方位からの拡散光を入れることで室内の明るさを十分に確保しつつ、屋外を室内に取り入れ、平面的な面積以上の広がりを演出させようと考えた。
様々な手法を検討する中で、世界遺産の宮殿や人工林の木の立ち並びに注目した。
【規則正しい柱の配列に注目】
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宮殿を構成する意匠性の高い大きな柱の規則正しい立ち並びは、室内と屋外の境界を曖昧にしている。また、方眼紙のマス目のように縦横に等間隔に並んだ線で構成されるグリッド上に規則正しく連続的に工作物があることで広がりを感じるのではないかと考えた。
【間伐された人工林と宮殿の柱の配列に類似性を見出し、屋外ではあるが室内のような「こもる」感覚を得られるのではと考えた】
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一方向の広がりより各方向への広がりを室内と屋外に織り交ぜながら計画することで、ボーダーレスな空間が違和感なく実現できるのではないかと考えた。
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このグリッドに配置する「柱」を構造体としての柱にするのではなく、1坪のスケールに拡大させた「部屋」にすることで用途を生み出し、ダイナミックな空間に印象付けた。この「柱部屋」は納戸、パントリー、書斎、ピアノ室、ホールなど各エリアで最適な用途として機能させながら、木の中で過ごすキツツキのように、「柱の中で過ごす」面白さ、高揚感を演出しようと計画した。
【ゾーニング計画時イメージ】
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外部からのアプローチ【1坪柱部屋は鎧張りセメント板:(SOLIDO)】
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建物内アプローチ
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エントランス
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北側の裏庭
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各方向に広がりを持たせる柱のグリッド連続配置を強調しすぎると大ホールのようになってしまい、広すぎるが故に「住宅」として居心地が悪くなることを懸念した。
柱部屋で連続はさせているが、あからさまにその手法を強調しすぎないようにキッチン背面の壁の色などを柱部屋の濃いカラーに近づけるようにして室内のインテリアをなじませている。
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和室
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和モダンのご要望があったため、床の間、床柱、仏間、神棚を再解釈して、照明で床柱を表現した
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既存の井戸を廊下、和室から臨めるように建築躯体で囲み、地窓で切り取った
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収納扉を天井の格子ピッチと合わせて製作した
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ヌケ感としてのディテール
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トイレの壁紙、1坪の柱部屋にはウィリアム・モリスの壁紙を採用し、ヌケ感を演出した
エントランスの手洗いの下部に足元灯としてトム&ジェリーの照明を製作した
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制作のスイッチ/自然光を取り入れるパウダールーム/ウィリアム・モリス壁紙のトイレ
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南側庭からの外観
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ファサード
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グリッドの上に等間隔に並んだ柱部屋を造ることで内外を繋ぐボーダーレス空間を実現させた。
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(グリッド:格子状、方眼状)