CURIOUS

CURIOUS design workers

×

  • HOME
  • >
  • BLOG
  • >
  • ちょうどいい天井の高さは?

BLOG

2025/04/11

ちょうどいい天井の高さは?

天井の高さはどのぐらいが適切なのかな?人がちょうどいいと感じるような 天井をどうやってつくっていくのかな?と疑問になったので、質問してみました!

________________________________________

 

スタッフ:人がちょうどいいと感じるような 天井はどうやってつくっていくんですか?

 

ボス:建築物によって違うね。例えば、店舗と住宅で全然違う。

________________________________________

 

 

店舗の場合

店舗だと、天井高2.7m〜2.8mぐらいが多いかな。ただ、同じお店でも場所によって天井高を変えたりする。カウンターは天井高が高めで、お客さんの席は低めにする。開放感と落ち着きをみせるってことだよね。

 

業種によっても違う?

それから業種によっても全然違うね。アパレルとかは天井高が高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開放的で天井をつくらずに倉庫みたいなかたちで上まで開放的にしちゃうことが多い。オフィスも最近は高めだったりするから天井高3mぐらいは多い。コストをかけないようにするには天井をつくらない方がいいっていうことがある。お寿司屋さんとかは天井高がちょっと低めで、2.4m〜2.6mぐらいかな。

 

これは、“どんな印象を与えたいか”によって全然違うってことなんだよね。来る人に対して “落ち着き” “ 温かみ” という印象を与えたい場合は、天井高はちょっと抑えた方がいいし、 “開放的” “クリエイティブな感じ”であれば、 天井高を高めする。

 

 

住宅の場合

「LDKを開放的にしたいです」ってことで天井高を上げることもあるし、逆に和室であれば天井高を抑える。

LDKと和室

 

実例:works「Grid」

LDKにある柱部屋の一つが書斎だったりする。この柱部屋は、1坪の広さだけど、天井高を上げている。それだけで、“窮屈なとこに押し込められる”という感覚をなくしているんだよね。

柱に見えるものが実は1坪の部屋となっている

 

 

 

実例:works「gap」

ここは、スキップフロアをやっているから、LDKの天井高が2.4m〜2.5mぐらいある。

この高さにしたからこそ、TomDixon.の「MIRROR BALL」を4灯吊っているんだけど、それでも違和感がない。

テレビを置く場所の壁はVALPAINT(バルペイント)の塗りをやっている。テレビを置く部分の開口、上下と右側の塗りの配分というのをこだわっているよね。天井高というのは基本的にインテリアの一部だと思っているから、テクスチャー・・素材感とかの配分というのは、横幅もそうなんだけど、天井高も一緒に考えるとより素敵な空間になるんじゃないのかなと思う。

 

 

照明

照明が似合う、似合わないもあるよね。2.4m〜2.6mぐらいの天井高で大きな照明って似合わない。ダイナミックな空間で大きな照明はありなんだけど、天井高が高すぎると間延びしちゃう。これは住宅もそうなんだけど、3.5mぐらいが一番デザイナーズ照明が似合うかなと思ってる。大きめのデザイナーズ照明入れるときは、住宅でも店舗でも 天井高3.2m〜3.5mくらいを目安に考えることが多い。

 

天井高でコストが変わる?

天井高でコストがだいぶ変わってくる。壁に貼るプラスターボードの規格が決まっている。

 

■一般的な規格
3×6板(サブロク)   サイズ:約910mm×1820mm
3×8板(サンパチ)   サイズ:約910mm×2420mm
3×9板(サンキュウ)  サイズ:約910×2730mm。

 

住宅に2400mmとか2500mmの天井高が多い理由は、部材のロスが少ない・・“歩留まりいい”ってやつだよね。だからコストを抑えられる。
それから、他に付属する外部のサッシ関係や窓関係、内部のドア関係のMAXの天井高が大体2400mm〜2500mmということが多い。

 

室内から軒を出して屋外まで繋がるようにする場合、2400mmの天井高で繋げることは多いかな・・最近は2600mmとかも既製品で出てるんだけど、耐風圧の関係で縦横比を考えると横が広げられないということもあるんだよね。それであれば、高さを抑えて横を広げたいとなると、結局2400mmぐらいになるケースは多い。
内部建具も最近は2700mmくらいがメーカーから出ている。「製作(ドア)であれば高さが取れる」というんだけど、製作のドアに付いている蝶番は既製品だよね?それで蝶番のカタログをみると、MAX2600mmということも結構多い。3000mmとか3500mmの ダイナミックなドアをつくろうとなったときに、その辺から逸脱するから自己責任でやるってことでリスクは高いよね。天井に対してドアがいっぱいまであるってことがシームレスになる・・線が少なくできるからきれいと言われるんだけど、それでも最大2600mmぐらいかなと思う。となると、天井高を高くして開放的にしたいとき、低いところと高いところをわけて設計するのがいいよね。ドアの付近は少し天井高を抑えたりするということね。

 

天井高が高い場合に考えなくてはいけないのが、ドアの高さとみせ方。そこはしっかり考えてていきたいところだよね。

 

 

2025年4月の法改正で変わること

2025年4月から建築の法改正があるよね。階高っていって、1階の構造体と2階の構造体の間の高さが3.2mを超えると耐力壁に低減係数をかけないといけない。3.2mぐらいの高さにすると、それを支える木造の筋かいがあまり耐力を発揮しなくなる。4月法改正からは、階高3.2m以下を考えて設計することが多くなってくると思う。
階高3.2mということは、おおよそ天井高は2.8mとか2.9mくらいで、そのくらいが1層においてMAX。1階2階をくっつけちゃって吹き抜けのようにして天井高を操作するのは 別に自由なんだけど、1階だけの天井高を上げようと思ったら 2.8mとか2.9mくらいがMAXじゃないかなと思う。

 

参考になる本の紹介

高さ方向をしっかりデザインできるようになると、デザインがだいぶ変わる。その中で、昔購入した本「一生使える!住宅の高さ寸法」が使えると思う。天井高はどのぐらいが適正なのかっていうのが色々な事例を当てはめて書いてある から、こういうのを使って若手設計者は考えるのはありかな。

 

https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767819273/

 

 

まとめ

"どういう建築物なのか?" "どういう効果を与えたいのか?"っていうので、天井高を変えた方がいい。ある程度、居心地というのは、もちろん横の広さもあるんだけど、天井高も重要だし、その人の身長にもよる。目線の高さは身長の0.9掛けと言われているから、そこ(目線の高さ)で何が見えるかって大事 。椅子に座るのか床に座るのかで感じ方が違う。その辺をうまくデザインできると、いい建築物はできるよね。

 

 

参考天井高
■住宅で天井を高くしたい場合

天井高 約2.7m〜2.8m

店舗(アパレル・カフェカウンター周り)やオフィスで開放的にしたい場合
天井高:3m以上

大きな意匠照明を設置したい場合
天井高3.2m〜3.5m

 

 

________________________________________

もっと詳しく知りたい方は、ぜひYouTubeをご覧ください▾

https://www.youtube.com/watch?v=T6Ha7FMj9z0

 

CONTACT