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2026/05/07

「覇気」にビビってプレゼンを封印した日。超クリエイティブ力。

 

 

 

 

「覇気って、本当にあるんだな」


年齢を重ね、キャリアを積み、少なからず修羅場もくぐってきた。今さらちょっとやそっとのことでは動じない。


建築を本業にしているけど、たまに建築以外のデザインもする。フラワーデザイン、あるいはビジネスモデル。どんな対象であれ、「人の心を動かす仕組みを作る」という意味では、僕の中で境界線はない。


そんな僕がいま、全く未知の領域に挑もうとしている。


「料理」だ。

 

1. 押し売りの「料理の設計」

きっかけは、あるシェフとの出会いだった。 東海圏では名の知れた、料理への情熱とこだわりが非常に強いシェフ。


「この人と組めたら、僕の夢が一つ叶うかもしれない」


僕がやりたかったのは、レシピの考案ではない。一皿の「概念(コンセプト)の設計」だ。 依頼されたわけじゃない。完全なる「押し売り」である。
本来、建築家は依頼を受けて対価をいただく仕事だ。でも今回は違う。お金をもらうどころか、むしろ「お金を払ってでもやらせてほしい」と思うほど、クリエイターとしての血が沸騰していた。

 

2. 建築家の武器は「口に入れるまでの設計」

僕は料理が趣味だ。
だが才能がない。
ことごとく美味しくない。なので味を提案する気は毛頭ない。

 

僕が提供できるのは、「体験」の設計だ。
一皿を見た瞬間のリアクション、共に食卓を囲む相手との空気、口に運ぶまでの期待感。 「自然の生態系を一皿に落とし込む」という、建築家らしいロジックを詰め込もうと考えた。
仕事の合間、常にメモ帳を広げ、殴り書きを繰り返した。 AIを駆使してイメージを視覚化し、ごりごりのコンセプトを練り上げた。 建築デザインなら、即決即答で最適解を出せると思う。この「料理の設計図」も、自分の中では「勝てるプレゼン」に仕上がったはずだった。

 

3. 職人の「聖域」に漂う、目に見える覇気

そして打ち合わせ当日。 本業である店舗デザインの話を終わらせ、場は温まっていた。 あとは、カバンに忍ばせた「料理のプレゼン資料」を取り出すだけ。
雑談がてらシェフに聞いてみた。
「一皿のコンセプトって、どう決めてるんですか?」


シェフの答えは、以前聞いた時と同じだった。
「コンセプトに縛られすぎると、料理の幅を狭めてしまう。もっと柔軟に素材と向き合いたい」

 

……ビビった。

 

僕がカバンに入れているのは、建築家特有の「ガチガチのコンセプト提案」だ。
 

目の前のシェフから立ち上る空気が変わった。 いつもは優しく、ユーモアに溢れた彼が、料理の話になった途端、職人としての「個」を剥き出しにした。
毛穴が開き、血が逆流する。 40代になって、こんなにビビることがあるのか? というくらい、手が震えた。
今この「ド素人の理屈」をぶつけたら、今まで築き上げてきた信頼関係すら崩壊するかもしれない。プロが命を懸けている聖域に、土足で踏み込むようなリスク。
やばいしかない。

 

ビビりまくった。


結果、カバンからプレゼンを出すのをやめた。

 

 

4. 「ビビれる」ことは、才能だ。

「若気の至り」という言葉がある。 先が見えないからこそ突っ込める勢い。それは、キャリアを積んで「勝ち筋」が見えてしまう大人には、何より眩しく、恐ろしい才能だ。

今回、プロの本物に触れ、その圧倒的な覇気にビビり散らかした。 でも不思議と気分は悪くない。

「実現力」とは、成功するまで続けること。 一度ビビって引き下がったくらいで、僕のクリエイティブな心は変わらない。
一品で勝負するのがリスクなら、次は多角的なレパートリーを用意しよう。断られても翌週には別のアイデアを持っていけるよう、ストックを積み上げよう。 ド素人という「底辺」からスタートするこの挑戦がたまらなく刺激的だ。


そして本気の職人が醸し出すオーラ。

 

比喩ではなく僕が帰り際に思ったこと。

 

覇気って本当にあるんだなと思った
どうでもいい話。

 

 

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もしこの記事が、クリエイティブに悩む誰かのヒントになれば幸いです。

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