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2024/12/23

模型と手すり

先日、C.D.WORKESのスタッフがクライアントさんにお見せする模型をつくっていました。ふと、どんな時に模型をつくるのだろう?と疑問になったので質問してみました。
ちなみに、つくっていた模型は「手すり」の模型だったのですが、あまり見たことのないかたちだったので、手すりについてもお話をしてもらいました。

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模型をつくるのはどんなとき?

 

スタッフ:模型って設計事務所入るまで見たことも触ったこともなかったんですけど、先日スタッフが一生懸命クライアントさんに見せる模型をつくっていたじゃないですか。
模型ってどんなときにつくるんですか?


ボス:建築模型は、本当にそんなにつくることは少ない。デザインをどんどん変えていくからね。詳細模型はつくるときはある。

 

スタッフ:今回は、手すりの模型ですよね?

 

ボス:そうだね。ディテール設計をしているときは、割と迷ったらつくるって感じかな。ちなみに模型のつくる意味ってわかる?

 

スタッフ:イメージできないところを、実際のものをみれるみたいな・・?

 

ボス:そのつくり方はあるよね。そういう意味合いはある。
僕がディテールの模型をつくるときは、そのデザインを捨てるかどうか迷うとき。そのデザインで果たしていいかどうかという検証をするための模型。今までもいろんな模型をつくってきてるけど、基本を捨てることも多い。このつくってもらった模型も2種類つくってもらってるんだけど、本来模型って、自分の考えが合っているかどうかってことだから。
その感覚が合ってなかったら捨てるので、模型は僕の中では捨てるためにつくっているという方が大きいかな。
今回、壁の中に彫り込んで手すりをつけるデザインを検討しているから・・その奥行きとかさ、手を握ったところの深さとかさ。その辺って、手のひらが手すりに触るところの接地面に対してのバランスじゃん。手のひらが、この接地面にあってそこから指が どうなるかという

 

スタッフ:握り心地みたいなことですか?

 

ボス:そうそう。ここの手すりのデザインによって、ちょっと変わる・・
これだったら、ぎゅっと握りやすいんだけど細いじゃんね。でも、体重をかけづらいなと思って。

 

 

 

 

ボス:これだったら 平面じゃんね? 平面だったら、手のひらで体重を支えられるという。

 

 

 

 

 

ボス:今回は手すりにこだわっていきたい物件だったので、階段の手すりの 意味合いを考えた時に、たぶん体重をかけれる方がいいかなと思って。そうなると平面の方がいいかなと思ったんだけど、ちゃんと握れるというものの2パターンをつくって 検証していった。
この模型をクライアントさんに一緒にみてもらって、実際どうかという話をしたんだよね。それから今回の場合だと、上の部分も折り上げをしているから、ここに間接照明を入れて、背面がどう光るかというのもみたかった。
取りつけのやり方や高さというのも検証したかったから、模型をつくったって感じかな。

 

 

手すりは”建築家の名刺代わり”

 

階段とか手すりは めちゃめちゃ奥が深いから・・ ”建築家の名刺代わり”っていうじゃん。
階段って、シグネチャーというか、サインというか。この建築はこの人だなと思うのは、階段をみればなんとなく癖がわかるというかさ。

 

手すりは、結局みための部分もあるからさ。ここの見付け面積をどのぐらいにするかとか。 細ければ細い方がいいという考え方もあるんだけど。
細いとこれがポロっと取れちゃうんじゃないか、どの厚みがいいのかとか・・そんなことを考えていくかな。

 

 

手すりデザインにはやさしさが必要

手すりっていろいろ用途がある。手すりが建築基準法で義務化になったのって、2000年ぐらいからだから最近なんだよね。まだ24年前ぐらい?そこから手すりが階段には必要になって、基準が決められたんだよね。
デザイン的にみせたいというふうにうちらはよく思うんだけど、手すりというのはある意味、ユニバーサルデザインの核となるところだから。使い勝手というのと、安全性というところ。これを全部兼ね備えなきゃいけないから 結構難しいんだよね。真剣に手すりを考えると、みためも追求しないといけないから。個性がないと設計事務所に依頼する意味もないからね。
使い勝手、安全性を担保しながら、どこまでデザインをブラッシュアップできるかっていうのは考えるよね。
優秀なクリエイター、デザイナーって、ちゃんと優しさがあるかどうかだと思っているから。まさに優しさを表現するところじゃない?手すりって。住宅とかニッチな店舗の場合は、ある程度攻め切ってもいいと思うんだけど・・施設系だといろんな縛りもあるからさ。不特定多数の人がOKでないとだめでしょ?
施設等のデザインになったら、ある程度均一化されちゃうというか・・デザインが突拍子もない手すりができるかっていわれても 難しいんだけど。個人宅とかだったら、その人に合っているかたちでデザインをしてあげればいいからさ。その手すりがどこにつくかもそうじゃん。
例えば、玄関の目の前に階段があったら、なにか飾りたいって思うじゃん。飾りたいと思う中で、手すりは必ずつくものだよねということでつけるんじゃなくて、ひと工夫をしてあげるといいかな。よくフラットバーで手すりをつくるんだけど、こだわりたいという方に対してはこういう風に模型をつくって彫り込みしたりとか。いろんなことをやっていこうかなと思っている。

 

 

C.D.WORKERSの実例

works「LAYER」https://www.cdw88.co.jp/work/detail0068.html

ここは、いつも使うようなフラットバーなんだけど。手すりの折り返し地点・・ ピン角になるところにちょっとだけ平場をつくった。それでくるっと 旋回するときに、指2本分 ひっかかるようにしてあるとか。

 

 

 

 

コストが変わらない中でなにかできることっていったら、少しだけ回転しやすいようにやってあげるとか。

 

 

works 「CONTRAST」https://www.cdw88.co.jp/work/detail0084.html

正面が階段だから 階段自体を少しアートっぽく、オブジェっぽくつくっているという感じ。だから、細かいディテールをこだわったよね。

 

 

 

 

階段の手すりって1m以上は必要だから、左側の手すりが壁につけるとき、通常は台座みたいなものがあって、そこからつけるんだけど。でも、これは 壁に埋め込んであるでしょ?そのために、壁を全部ふかしてるんだけどね。

 

 

 

 

スタッフ:ここの手すりって斜めになってますよね? 通常、下にまっすぐおちるイメージでした。

 

 

 

 

 

ボス:そうするとデザイン的に重たいんだよね・・軽い感じがよかったからさ。それに、この階段ってメインの動線じゃない。

 

スタッフ:たしかに、別でエレベーターがありましたよね。

 

ボス:規模とかエレベーターの有無とか、そういうところでデザインは変えていくし、コストでも変えていく。案外、階段の手すりとか階段自体もそうだけど、コストがかかるからさ。こだわるかこだわらないかは、みせ場になるかならないかだよね。

 

 

works「gap」https://www.cdw88.co.jp/work/detail0036.html

階段の踊り場をデスクにしましょうという提案した物件。

 

 

 

 

階段というものの使い方を再解釈しているというかたち。手すりもちょっと出してる。出してもいい手すりのかたち・・ちょっと四角っぽくなっているでしょ?

 

 

 

 

 

ここの物件も手すりの模型つくったんだよ。今回のように彫り込みしたらどうかというふうに考えて検討した結果、ここではやめようと思って捨てたんだよね・・そのデザインは。

 

 

works「inside」https://www.cdw88.co.jp/work/detail0060.html

ここは猫とともに暮らすっていうふうだから、うしろに棚があると思うんだけど。

 

 

そこはキャットウォークになっているんだよね。一番上の棚に猫が行ったときに 、外の光とかさ 日向ぼっこができますみたいな。

 

 

 

 

works 「live」https://www.cdw88.co.jp/work/detail0086.html

この階段も ちょっと変形してるじゃん。大階段というイメージよりかは、人が集まったときに若干、ステージのような感じでいろんなところに 座れるっていう。座った先に、庭の景色がみえるという。

 

 

木とモルタル系の塗装と鉄骨の組み合わせだよね。

 

 

ここは、CONTRASTの手すりと違って、手すりがまっすぐ落ちているでしょ?縦ラインが多いから、手すりもまっすぐにしたって感じかな。

 

 

 

階段のディテール

ボス:C.D.WORKERSは、建築好きな人たち・・割と近い業界の人からの依頼が多いよね?そういう人たちは、やっぱりディテールをすごく気にするから、大体の人は階段こだわりたいっていうね。みんな階段好きなんだよね、個性でるしね。

 

スタッフ:今回この話がしたいなと思ったのは・・模型をみて、壁をくり抜くっというか、くぼませてつくるのが面白いなと思ったんです。

 

ボス:ミュージアムとかは結構多いんだけどね。こういうデザインはよくみるよ。でも、それを戸建て住宅に採用するかっていわれると、壁をふかしなさいよとかさ ・・そういう、いろいろなことが起こってくるから、やらないことが多いだけであって。
なんで、建築を小規模とか大規模で区切らずに、ディテールは双方がマネできる話だからさ。そういうところに注目して建築をみるといいものができていくような気がする。

 

ボス:階段はどちらかというと建築だからさ。主要構造部の一部だから。だけど、インテリアをやる人もこの辺は一緒に考えてやっておく方がバランスはとれるかな。
気の利いた建築物っていうのは、手すりとか、ドアの枠とか 、窓枠とか、 巾木とか。こういうところをみれば ちゃんとこだわっているなというのがわかる。それはデザイン的にもそうなんだけど、メンテとかさ。将来的におかしくなっちゃうとかじゃなくて、考えられているかどうかっていうのはそういうところに出るかな。そういうところをこだわっていきたいよね。
手すりだって、見た目だけだったら面白いのたくさんあるじゃん。
あとは、つくり手と設計者が果たしてこれが施工的にいけるのか、安全かどうか、というのがあるから。手すりは 難しいんだよね。だけど それを解決できたら、手すりってめちゃめちゃ面白いんだよね。

 

冒頭にもいったけど 階段って “建築家の名刺変わり”だからさ。僕は階段は 結構こだわる方だと思うよ。

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もっと詳しく知りたい方は、ぜひYouTubeをご覧ください▾

https://www.youtube.com/watch?v=VX5JNbroCzY

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